木材へのこだわりを追求
長い年月をかけて実現した木製窓「APW 651」
モノづくり
再生可能資源である国産木材を使用し、木製ならではの上質感ある意匠性と、高い断熱性能を兼ね備えたのが、トリプルガラス木製窓「APW 651」です。
木材は樹種だけでなく、育ってきた環境によっても、それぞれ特徴や個性が異なります。高い性能や品質、耐久性、意匠性を実現するため、木材にとことんこだわり、さまざまな技術開発や検証に取り組みました。
窓に適したオリジナル仕様の集成材を開発
これまで木製窓は、メンテナンスが難しいことから日本では工業製品としてあまり普及していませんでした。この課題に対応するため「APW 651」では、室内側を国産桧の集成材、室外側をアルミで被覆したアルミクラッド構造としました。
さらに、大開口に耐えられる強度を実現するため樹種の選定と集成材の技術開発がポイントとなりました。樹種の選定では多くの種類から独自に設定した基準を満たす国産木材を探し、耐腐朽性に優れる桧にたどり着きました。
加えて強度測定をクリアした「挽き板(ラミナ)」を表と裏交互に貼り合わせた集成材を採用。「挽き板」を重ねることで木材の反りを抑制します。また強度測定はクリアしつつも比較的強度が弱い部分が分散されることで、品質が安定するのも集成材のメリットです。
また資源を無駄なく活用するため、強度に影響のある大きな節などの欠点をあらかじめ取り除き、木材をつなぎ合わせています。つなぎ合わせる部分は強度と生産性を両立できる形状を独自に開発。さらに品質と耐久性を兼ね備えた剥離しにくい接着剤を採用することで、外部環境にも適応できる仕様にしました。日本には木製窓に関する集成材の規格が存在しないため、さまざまな技術開発、検証を行い、YKK APの求める基準を満たす仕様を実現するまでに約2年かかりました。
色のバラつきを数値化して制御
塗装は意匠性だけでなく、木材を水分やキズから守りメンテナンス性を高めるという大きな役割を果たします。環境配慮、健康配慮の面から水性塗料を採用しようと、国内外の塗料を試し、木目がよく見えるなど仕上がりの良さ、耐候性などの性能面でも十分と判断し、海外製の造膜タイプの水性塗料を採用しました。造膜タイプの塗料は厚い塗膜を形成するため木目を潰してしまうこともありますが、含浸タイプの着色プライマーの上に2層のクリアコートを行うことで、国産桧の美しい木目を活かす塗装を実現しました。
またこうした塗装を工場で自動化するため塗装機械と研磨機を自社で開発。しかし、木ごとの違いによる色ムラが大きな課題となりました。そこで木の色の違い、木目の入り方、含水率、塗料の厚さなど、色ムラに関わる因子を洗い出し、統計学的に調査・分析することで、木の塗装色に対する独自の評価方法を確立しました。そこから得られた結果を数値化して生産設備を調整しました。
自然素材である木の活用にはまだまだ課題があるのも事実。今後もさまざまな技術開発や検証を通じて木製窓の品質向上に取り組んでいきます。