モノづくり

スライド網戸の脱落防止構造の開発

網戸が強風などにより脱落すると大きな被害につながりかねません。一般的な戸建住宅用引違い窓に設置するスライド網戸は、上部にはずれ止め部品を標準設定していますが、これは網戸を設置した後に手作業で設定する必要があり、メンテナンスなどで網戸を付け直した時に設定し忘れるといったことも考えられます。
こうしたリスクを低減して安全性をさらに高めるため、YKK APが開発したのが、スライド網戸の「脱落防止構造」です。脱落を防ぐ2つの技術を紹介します。

従来、網戸の下框(かまち)と、網戸レールの重なり合った部分を指す「掛かり代(しろ)」は4mmであり、網戸上部のはずれ止め部品の機能が発揮されていない場合、網戸がはずれやすいことが課題に。
そのため、構造を見直し、掛かり代(しろ)を7mmに増やしました。予期せぬ力が加わり網戸が持ち上がるようなことがあっても、窓枠からはずれにくくなりました。

網戸の下框と網戸レールの「掛かり代」を増やす構造

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網戸の下框と網戸レールの「掛かり代」を増やし、網戸が上に持ち上がっても窓枠からはずれにくい構造に

さらに網戸がレールを乗り越えるまで持ち上がった場合を考慮し、「はずれ止め機能付き戸車」を開発し、自社製造しています。
網戸へ上部に持ち上がる力が加わると戸車が下部に飛び出す構造で、さらに戸車の先にはずれ止め機能をつけることで、網戸が下枠から浮き上がった状態となっても、戸車のはずれ止めが網戸レールに掛かった状態を保ちます。そのため、従来品よりもさらにはずれにくくなっています。
不慮の力が加わる、想定外の操作が行われるなど、さまざまなケースを想定して検証を実施し、その安全性を確認しています。

戸車にもはずれ止め機能を搭載

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1.網戸を吊り込み後、網戸を縦枠に当てる、またはボタンを押し込むことで、戸車のはずれ止め機能が作動
2.網戸が持ち上がると戸車のはずれ止め機能が下部へ動き、網戸レールに掛かることで脱落を防止

YKK APは、標準的なはずれ止め部品の採用にとどまることなく、さらなる安全性を求めて「脱落防止構造」を開発しました。はずれを防止するためには掛かり代(しろ)を増やすことがポイントとなりますが、増やし過ぎれば網戸を吊り込むことができません。そこで、あわせて「はずれ止め機能付き戸車」を開発することで安全性を高めました。
大型台風や強風を伴う豪雨被害が拡大するなか、網戸のはずれによる事故のリスクが高まっています。YKK APは今後も更なる安全性の向上を追求していきます。

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