火気を使わない安全な施工工法
「非溶接工法」は、溶接ではなく高強度の樹脂による接合工法。無火気であることから安全であるだけでなく、施工の手間を省き、省資源であることなどが特徴です。
ビルやマンションなどRC造・S造へのサッシの設置は、一般的に「鉄筋溶接+モルタル詰め」による「溶接工法」が用いられています。しかし、鉄筋溶接は火気を使用することから溶接火花による火災の危険性、溶接光や煙による施工技能者の健康被害などのリスクがあります。また、施工技能者に特別技能資格が求められるだけでなく、施工には溶接機や電源設備などの機材が必要で、その運搬や配置といった多くの手間もかかります。
施工技能者の高齢化、人材不足が深刻化するなかで施工現場の作業負担軽減が大きな課題となっていますが、「非溶接工法」はこうした課題をクリアし、安全性が高く施工精度を高めることができる工法です。
「非溶接工法」は、粘性のある樹脂剤を用い、その硬化によって躯体とサッシを固定します。具体的には、躯体にアンカーを打込み、サッシを建込みした後に注入型を取付けて樹脂剤を注入、樹脂剤が硬化(外気温20℃で10分程度)すれば施工完了です。施工に特別な技能は不要で、必要な工具は打鋲器と樹脂注入器のみ。「溶接工法」の作業負担を大きく軽減しながらも、安定した施工精度を確保することができます。
「非溶接工法」は、溶接工法の多くの課題を解決します。
溶接工法と異なり火花が飛散しないことが大きな特徴で、近隣建物への燃焼、また、施工済みガラスを焼くといった心配がありません。また、無火気での施工は感電や火傷など危険作業の削減につながり、煙や強紫外線などによる周辺環境や施工技能者の健康面への負荷もありません。火災リスクゼロ、人や環境にやさしい工法が施工現場の環境改善に大きく役立ちます。
「溶接工法」は安全規程のもとでの作業が必須であり特別技能資格が求められますが、「非溶接工法」は、通常のサッシ施工技術のみで施工することができます。
また、資材削減や工程管理といった面からも多くのメリットがあります。取付け前の躯体側の下準備(埋込み、鉄筋)が不用のため資材削減につながるだけでなく、電力消費もなく省エネに寄与します。溶接に必要な機材の搬入・設置や電源接続、火花養生が不用なことから作業性が向上し、溶接工法と異なり雨天時でも作業が可能で工程管理を容易にします。