【窓の漏水を防ぐ】
施工スキルによらず
安定した止水を保つ技術
窓のフレームは、上・下・左右の4本のサッシ部材がねじで組み立てられて構成されています。各サッシ部材の接合部は、雨水が入らないように止水用のゴム部品「シーラー」で挟み、ねじで組み立てられています。このシーラーは、サッシ部材同士の隙間をしっかりと塞ぎ、水密性を担保するための部品ですが、現場組立後の運搬や作業者の施工精度によっては、部材の接合部に隙間ができてしまい漏水につながる、という課題がありました。
作業者の組立・施工スキルに左右されない安定した止水性能を備えた窓商品を提供するために、YKK APが開発したのが、独自の止水技術「Wストップシーラー」と「ねじ穴の突き出し加工」です。
Wストップシーラーとは、シーラーの主材料であるゴム材の表層に、高い吸水性をもつ樹脂素材「SAP(サップ:Super Absorbent Polymer)」を練り混ぜた、YKK AP独自のシーラーです。万が一、外的要因により部材の接合部に隙間が発生しても、SAPが雨水などの水分と反応して膨潤し、止水します。
SAPはゴム材に練り込まれシーラーに内包されているため、保管時や組立作業前に水がシーラーに付着しても吸水はされません。枠の接合時のねじ止めによって、シーラーが圧縮されると、圧縮された部分だけゴムが変形しSAPが露出するように工夫。表面に露出したSAPが水に反応して膨潤することで雨水の浸入を防ぎ、水密性能を長期的に維持できる構造とすることができました。より適切に止水性能を発揮させるためゴム材の硬度も調整。およそ3年をかけて検証と改良を重ね、SAP配合量や配合位置、シーラー硬度、すべてを調整して水との反応性を最適化したWストップシーラーを完成させました。
止水性能評価試験においては、連続降雨環境や、膨潤・乾燥の繰り返し、水・熱・紫外線による複合劣化、メンテナンス時の各種薬品の付着など、さまざまな状況を想定した検証をおこない止水性能を確認しています。
また、万が一、ねじを締めすぎた場合にWストップシーラーが切れてしまうことを回避するために、窓フレームのねじ穴には作業者のねじを締める力を適切に制御する「突き出し加工」を施しました。ねじ穴の外周部にわずかな凸形状の突き出し部分を設けることで、ねじの締めすぎによるシーラーの損傷を物理的に予防。突き出し部分が横部材に触れた感触を組立技能者が感知することができ、適切なねじ止めを可能にしました。