大切なお知らせ

国土交通大臣認定特定防火設備(スチール採光窓付玄関ドア)の不適合及び、不正受験に関する発生原因と再発防止策について

弊社は、令和5(2023)年4月21日に公表した「国土交通大臣認定の仕様に適合しない特定防火設備に係る未改修物件等への対応」(以下、大臣認定不適合)及び令和6年(2024)年7月23日に公表した「国土交通大臣認定特定防火設備(片開き戸)の公的試験における不正受験」(以下、大臣認定取得における不正受験)について、同日に公表した「特別調査委員会からの調査結果のご報告」を踏まえ、下記の通り、発生原因と再発防止策を国土交通省に報告いたしました。

お客様ならびに関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたこと、あらためて深くお詫び申し上げます。弊社は今回の事態を厳粛に受け止め、迅速な是正を実施するとともに、全社を挙げて再発防止に努めてまいります。

 


1.本件不適合の概要

1.1 大臣認定不適合

対象製品名称:スチール採光窓付玄関ドア (主な使用先:集合住宅や事務所ビル等)

大臣認定番号 :EA-9282

製造販売期間:平成8(1996)年4月から平成19(2007)年12月

販売棟数・セット数:2,104棟 25,553セット

 

弊社が平成19(2007)年まで製造販売した特定防火設備(スチール採光窓付玄関ドア)において、国土交通大臣認定の仕様に適合しない製品が存在し、必要な改修が行われていませんでした。

 

1.2 大臣認定取得における不正受験

対象製品名称:スチール採光窓付玄関ドア (主な使用先:集合住宅や事務所ビル等)

大臣認定番号 :EA-0259

製造販売期間:平成8(1996)年4月から平成19(2007)年12月

販売棟数・セット数:117棟 981セット

 

上記1.1の大臣認定番号EA-9282の製品の不適合状態解消を目的に、それまで販売してきた仕様(以下、販売仕様)での評価試験を受験し、新たに平成20(2008)年に大臣認定EA-0259を取得しました。しかし、遮炎に関する性能評価試験(以下、公的試験)の際に使用した試験体で、申請書に定められた仕様から乖離する不当な調整が実施されていたことが判明いたしました。

 

2.発生原因

特別調査委員会からの指摘もふまえ、以下の発生原因があったものと考えております。

 

2.1 大臣認定不適合の発生原因

①特定防火設備および大臣認定に対する規範意識の欠如

平成20(2008)年当時の大臣認定の申請業務に直接関わる役員及び従業員のみならず、大臣認定品の運用に関わる役員及び従業員においても、特定防火設備及び大臣認定に対する規範意識、建築安全に関する法規への規範意識が欠如していました。

②不適合事案に対応した体制の不備

平成20(2008)年当時は、営業-開発-製造を一体とした事業部制が敷かれており、本件事案において対応は、担当事業部主導で行われました。そのため、意思決定に関わる検討過程において他部門からの参画はなく、牽制・チェック機能が働きませんでした。

 

2.2 大臣認定取得における不正受験の発生原因

①特定防火設備および大臣認定に対する規範意識の欠如

大臣認定不適合事案の原因と同様に、平成20(2008)年当時の大臣認定の申請業務に直接関わる役員及び従業員に、特定防火設備及び大臣認定に対する規範意識、建築安全に関する法規への規範意識が欠如していました。

 

②大臣認定品の商品開発~生産準備プロセスにおけるチェック体制の不備と関連部署の連携不足

大臣認定取得の一連のプロセスにおいて、試験体の製作および申請の各工程で、行われるべきチェック体制が構築されていませんでした。また、その過程で従業員が各チェックを行う際に確認すべき事項や基準が整理されていませんでした。
本件事案では、販売仕様での再認定を早期に取得するために担当事業部内に緊急対策本部が設置され、その内部のみで対策が実施されました。
このため、通常の開発プロセスで行われるチェックが行われず、試験体の仕様と申請内容との適合判断は、関連部署との連携が取られず、緊急対策本部の責任者のみで行われていました。

 

③従業員に対する社内の精神的な重圧

総括責任者を含む緊急対策本部担当者は販売仕様で公的試験に合格することは難しいと担当事業部に伝えていたが、販売仕様で大臣認定を再取得するよう指示があったため、何としてでも公的試験を合格して大臣認定を再取得しなければならないと理解したと考えられます。
本指示内容が、総括責任者を含む緊急対策本部担当者にとって大きな精神的重圧となっていたと考えられます。

 

2.3 その他の課題

①大臣認定仕様との適合性に疑義が生じた際の自浄作用の不足

令和5(2023)年に大臣認定不適合の疑義が生じた際に実施した社内調査において、大臣認定に関わる不正受験の事実を明らかに出来ませんでした。その理由は、その調査を試作や社内試験、公的試験に関与していた部門の担当者に一任し、かつ調査範囲も限定的であったうえ、他部門や本事案に関連していない第三者が参加しておらず、客観的な評価が欠如していました。
一般的に内部調査では、自己評価の限界、内部バイアスの影響、自己認識の偏り、客観性の欠如、内部視点の限界等があるところ、それらを考慮した社内調査体制およびルールが明確ではなかったため、法令適合や大臣認定仕様の正しい判断ができない場合や、不適合が発覚した場合など重要なコンプライアンス・ガバナンスに関わる事例での自浄作用が不足していました。

 

3.再発防止策について

3.1 令和5(2023)年時点までの防火不適合防止プロセス

弊社は、平成20(2008)年以降より現在に至るまで大臣認定品に関する不正等を防止するため、以下の防止策を実施してきております。

  • 事業部内の品質保証部によるDR(デザインレビュー)プロセス運用の適正性の確認と、販売製品の最終的な仕様確認による客観的な目線による発売可否判断として最終仕様確認をプロセスに追加
  • 「防火設備大臣認定品仕様適合性チェック運用ガイドライン」制定と適合性チェックの運用による設計図書と性能評価書、性能評価書と製品の適合性確認
  • 「生産品適合性チェック運用ガイドライン」制定、適合性チェックの運用による設計図書と製品確認の実施による不適合商品の市場流出の防止
  • 「防火個別認定試験前運用チェックガイドライン」の制定、チェックの運用による申請書と試験体の適正性の確認

 

3.2 今回の事態を受けての再発防止策

「2. 発生原因」を踏まえ、再発防止策を策定し、令和6(2024)年10月21日までに実施しました。(下表)

● 大臣認定不適合(令和5(2023)年4月21日 公表)

原因 再発防止策 実施状況(※:継続実施する内容を示す)
①特定防火設備および大臣認定に対する規範意識の欠如 風土・人づくり ①経営トップからの品質・コンプライアンスに関わるメッセージの継続的な発信 代表取締役社長より、『品質・コンプライアンス緊急事態宣言』を全従業員に配信
※年次にて継続配信
②従業員への商品が担保するべき社会的責任に対する規範意識の醸成と教育 (1)従業員に、大臣認定のみならず防火設備の関連法及び建築基準法への理解を深めるための研修を実施
※年次にて全従業員に対し継続実施
(2)防火認定業務従事者および管理者向けに、認定制度理解及び遵法意識徹底のための研修を実施
※年次にて継続実施
(3)社外関係者(サプライヤー、流通店など)に対する遵法意識徹底のための教育コンテンツを追加作成
※年次の定期監査等で研修を継続実施 
②不適合事案に対応した体制の不備 組織および体制強化 ①商品開発本部における大臣認定品を取得する商品開発プロセス全体を通した管理体制の強化 大臣認定制度や建築基準法の防火規定・社内防火認定取得業務に精通した「防火商品品質管理者」を指名
②大臣認定品の商品開発~生産準備プロセスにおけるそれぞれの適合状況の確認と指導を行う体制の強化 左記の役割を担う「防火商品監査室」を品質本部内に新設
プロセスの強化 ①商品開発~生産準備プロセスにおける品質確保、大臣認定はもとより関係法令への適合性を確認するための透明性と健全性の確保 (1)大臣認定書と設計図書の適合性チェックを強化した適合性チェックガイドラインに改定(複数の商品開発者によるダブルチェック)
(2)大臣認定書と量産品の適合性チェックを強化した適合性チェックガイドラインに改定(チェックするメンバーに品質保証部を加え、品質本部内に新設する防火商品監査室がチェックの実施状況を監査する)
(3)大臣認定を取得した製品を社外において認定書通りに生産・販売することを担保する仕組みを構築するために、確認・指導・監査等の実施要綱を改定(品質本部内に新設する防火品質監査室が最終承認を行う)

 

 

● 大臣認定取得における不正受験(令和6(2024)年7月23日 公表)

原因 再発防止策 実施状況(※:継続実施する内容を示す)
①特定防火設備および大臣認定に対する規範意識の欠如 風土・人づくり 大臣認定不適合(令和5(2023)年4月21日 公表) 原因①の再発防止策に同じ 大臣認定不適合(令和5(2023)年4月21日 公表) 原因①の再発防止策に同じ
②大臣認定品の商品開発~生産準備プロセスにおけるチェック体制の不備と関連部署の連携不足 組織および体制強化 大臣認定不適合(令和5(2023)年4月21日 公表) 原因②の再発防止策に同じ 大臣認定不適合(令和5(2023)年4月21日 公表) 原因②の再発防止策に同じ
プロセスの強化 ①商品開発~生産準備プロセスにおける品質確保、大臣認定はもとより関係法令への適合性を確認するための透明性と健全性の確保 (1)執行役員などの責任者の位置付けと商品仕様承認のルールを明確化したプロセス運用ガイドラインに改定
(2)大臣認定申請における申請書と大臣認定試験体との適合性チェック機能体制を強化した試験前チェックガイドラインに改定(チェックするメンバーに品質保証部を加え、品質本部内に新設する防火商品監査室が大臣認定試験体の出荷承認を行う) 
③従業員に対する社内の精神的な重圧 風土・人づくり ①業務上の精神的重圧に対する、心理的安全性の確保、問題が発生した場合の自浄作用の醸成 (1)内部通報規程、内部通報窓口及び通報者保護を再周知するために、メールを全従業員に配信
※月次にて継続配信
※年次にて研修を実施、周知状況を確認
(2)実効性のある労務相談・通報窓口対応を整備するために、関連部署の役割及び業務フローを内部規定において明確化し、人事担当者研修を実施
※年次にて継続実施
(3)各組織内における人事面談でコンプライアンス重視の意識や内部通報制度の認知を深めるために、面談者へのスキルアップ研修を実施

 

 

● その他の課題

原因 再発防止策 実施状況(※:継続実施する内容を示す)
①大臣認定仕様との適合性に疑義が生じた際の自浄作用の不足 プロセスの強化 ①商品開発~生産準備プロセスにおける品質確保、大臣認定はもとより関係法令への適合性を確認するための透明性と健全性の確保 (1)商品開発プロセス上で問題が発生した場合の対応を明確化するために、プロセス運用ガイドラインを改定
(2)大臣認定に関わる文書管理の明確化のために、管理範囲及び保存期間を文書管理規定にて定義
風土・人づくり 大臣認定取得に関わる不正受験(令和6(2024)年7月23日 公表)
原因③の再発防止策に同じ
大臣認定取得に関わる不正受験(令和6(2024)年7月23日 公表)
原因③の再発防止策に同じ
外部による確認 ①第三者による定期的な監査 (1)大臣認定に関わる商品開発~生産準備プロセスを客観的に評価するために、外部による再発防止策の確認を実施
※年次にてプロセス運用状況を継続確認
(2)販売商品の大臣認定書との適合性を客観的に評価するために、第三者機関による適合性チェックの実施内容を策定(商品カテゴリー毎に対象商品を選定)
※年次にて継続確認(当面は、3ヶ月毎に実施)

4. 他の大臣認定の調査について

現在弊社が製造・販売している全ての大臣認定品について、大臣認定の仕様への不適合の有無及び、大臣認定取得時の不正取得の有無について調査を行い、同様の問題が生じていないことを確認しました。

以上