人材戦略・育成
人材に対する基本的な考え方
YKKグループでは、年齢や性別、学歴などにとらわれず、「自律と共生」の考えをもとに社員一人ひとりが十分に力を発揮できる制度や環境づくりを進めています。めざす姿は、一本一本の木が独立しながら森林を形成するように、一人ひとりが「経営者」という意識を持ち、全員が手を携えて一緒に大きく育つ「森林集団」です。そのような組織として価値を創造すべく、真に公正な人事制度の実現と人材育成に取り組んでいます。
人材戦略
「善の巡環」に基づく幸福経営をベースに、人材戦略を展開しています。①働きやすい職場環境の実現、②社員への投資、③成長機会の提供、④雇用を生み出す経営、これら4つの観点から各施策を実行し、多様な人材に選ばれる会社をめざしています。
①働きやすい職場環境の実現においては、働き方改革委員会や職場改善委員会の取り組みを強化し、多様な働き方やダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。②社員への投資においては、既存の研修に加え、創造性や構想力向上の育成とグローバル人材育成を目的に、教育体制の再構築を図っています。③成長機会の提供においては、個人のキャリア形成・開発支援を強化。④雇用を生み出す経営においては、人事制度・運用を改善し、年次有給休暇取得率の向上や採用強化施策などを展開していきます。
これらの達成度を測る指標として、従業員エンゲージメントをはじめとする重要項目を設定し、定期的に進捗を確認しています。
人事制度
年齢・性別・学歴・国籍に関わらない人事制度、同一役割・同一成果・同一処遇の実現をめざし、「公正」「仕事(役割)」「自律」という理念のもと、"役割"を軸にした「成果・実力主義」のさらなる徹底を図っています。これまで定年後、65歳までの社員を対象に再雇用制度を運用してきましたが、2021年度からは定年制度を廃止しています。これにより、社員は会社の求める役割を果たすことができる限り、年齢に関わることなく働くことができるようになりました。会社は社員に期待する働き方、役割を担うための必要能力、経験を明示し、社員には自らが求めるキャリアの形成や意思を申請できる機会を設けることで自律した働き方の実践を支えます。
給料改定、特定職務・資格手当
市場競争力のある適正な賃金水準に向けた取り組みを行っており、政府による賃上げ政策の推進、円安や物価上昇などの状況を踏まえた給料改定や特別一時金の支給を行っています。また、事業運営上会社が特に重要/強化が必要と位置づける職務を「特定職務」と認定し、その職務に従事する従業員に対して、「特定職務手当」を支給しています。資格取得の推進においては、支給対象の年齢制限の撤廃、資格手当の増額など制度の拡充を図っています。
社員教育の充実
事業と組織に貢献できる人材の育成や個人のスキルアップを目的に、社員教育の充実を図っています。全社員向けのデジタル・ITリテラシー教育、将来のビジネスリーダーを育成する「価値創造塾」、新任管理職やリーダー層を対象にした「階層別研修」などを実施する他、6カ月のオンライン英会話研修、DXやITリテラシーの関連知識やビジネススキルを学べるeラーニングなど自己啓発の支援を行っています。
また、定年制度を廃止し、退職時期の判断が個人に委ねられていることを背景に、社員が自身のキャリアに向き合う「キャリア研修」を行っています。
社員との対話
社長をはじめとする取締役が社員と直接対話する「車座集会」、本社・本部社員らが地域や職場の課題を吸い上げる「拠点訪問・ヒアリング」を実施しています。対話で得られた社員の声がキャリア相談窓口設置や「共通メンター制度」導入に生かされるなど、さまざまな施策への反映が進められています。また、社員持株会「YKK恒友会」により年2回開催される集会では、経営実績の報告や社員から取締役への質疑応答などが行われています。
新規事業テーマと推進リーダーの公募
持続的な成長に資する新領域・分野を開発するため、CHRO(最高人事責任者)主導のもと、新規事業のテーマとその推進を担うリーダーとなる人材の社内公募を行っています。既存の事業分野にとらわれない自由なアイデアが幅広い年代の社員から寄せられ、その中から推進リーダーを選出し、事業化に向けて提案テーマのさらなる進化と新規事業テーマの探索に取り組んでいます。
事業リーダーの育成
事業をリードする次世代の人材を育成するため、国内外の大学院(博士号・修士号)への派遣やMOT・MBA留学支援を行っています。研究テーマは現事業の範囲にとどまらず、「ロボット」「AI・機械学習」「DX」「次世代の環境対応」など、今後、ますます欠かせなくなるテーマを積極的に推奨しています。社員が会社の枠組みを超えて専門知識や多角的な視点を身につけることで、組織としての発想の多様化をめざしています。
また、博士号などの取得を推奨するとともに、取得者同士や社内組織、大学や研究機関と連携し、さらなる活性化を図る目的で「AP 博士号の会」を運営しています。個人が持つ技術資産を共有し、人的ネットワークの積極的な活用により、競争力強化を促進する環境整備や人材育成を推進しています。