TCFDに基づく情報開示

 YKK APは、持続的な成長を牽引するために2021年に定めたマテリアリティの一つに「環境との共生」を掲げ、脱炭素・循環型社会の促進、環境配慮商品の拡販など、環境負荷低減と気候変動の緩和と適応に貢献する活動を推進しています。
2050年の目指す姿である「事業活動におけるライフサイクル全体を通して“環境負荷ゼロ”を実現」に向け、ライフサイクルの全ての段階で環境価値を創出するとともに、グローバルな環境負荷低減活動を実践しています。

 マテリアリティ「環境との共生」の中でも中核的な課題である「気候変動」では、2050年カーボンニュートラルに向けて、事業活動の全ての工程で温室効果ガスの削減や気候変動への適応に取り組んでいます。2019年1月にSBT認定取得、2019年5月にTCFD提言に賛同し、気候関連リスク・機会の両面において事業活動への影響を評価し、経営戦略に反映しています。

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項目 活動内容 参照先
ガバナンス YKK APは経営方針などの重要事項に関する意思決定機関および監督機関としての取締役会、ならびに監査機関としての監査役会という機関制度を基本として、執行役員制度により事業・業務執行を推進する体制をとっています。
特に、サステナビリティ課題は社長を議長とする「ESG全体会議」によって全社の視点から方針を策定した上で、関連部門、国内外のグループ会社に展開し、部門横断的な活動を行っています。
「ESG全体会議」の中で環境分野を管轄する「環境政策委員会」は、社長を委員長としており、経営視点で気候変動を含む環境方針・戦略を策定・承認し、進捗状況を確認しています。その環境方針・戦略を「環境委員会」が国内外の製造・営業拠点へ展開し、相互内部環境監査で実施状況を確認しています。
環境推進体制
戦略 TCFD提言に沿って、気候変動問題がYKK APへ及ぼす重大なリスクと機会を特定・評価しています。
種類 事業への財務的影響 対応
移行
リスク
評判 カーボンニュートラル等、社会的要請事項への対応遅れによる企業価値の喪失 カーボンニュートラルプロジェクトを2021年度に発足し、副社長をプロジェクトリーダーに、若手技術者の参画による6つのワーキンググループを設け、各ワーキンググループでの取組を進めています。2023年度には、カーボンニュートラル達成目標年度を2050年度から2040年度に前倒しし、取組を加速させています。
市場 エネルギー資源枯渇によるコスト増大 中長期にわたって、年率1.3%以上のエネルギー原単位(生産当たりエネルギー使用量)の削減を目指し、高効率設備(生産設備・照明・空調)の導入を推進しています。加えて、再生可能エネルギーの活用やエアー漏れ削減、排熱ロス削減等を展開し、エネルギー使用量削減を推進しています。
物理的
リスク
緊急性 自然災害による被害増加、サプライチェーンの分断 災害・リスク発生時に備え、国内外の全拠点でBCPの策定を完了しています。また、BCPの迅速な実行を目的に「事業継続マネジメント(BCM)規定」の見直し・更新を行ったうえで、機能軸・地域拠点単位での浸透を進めています。資材の複数社購買、サプライチェーンの把握と改善、重要管理アイテムは緊急在庫の確保に加え、開発・製造・購買部門が連携して代替調達の設定を行うなど、商品開発の段階からBCPを踏まえた取組を行っています。
慢性 降雨量減少による水不足での事業活動の制限 生産工程において、洗浄水や冷却水として水を使用しています。地域によっては渇水による水使用制限のリスクがあり、工業用水の受け入れ量の見直しや水の多段利用、循環利用、再生利用を実施し、水使用量削減に取り組んでいます。
機会 製品・サービス 高断熱商品の需要増加 APW樹脂窓シリーズは、世界トップクラスの断熱性能を持つAPW 430をはじめ、シリーズを通して高い断熱性能を実現しています。これら高断熱商品の販売拡大により、エネルギー消費の削減に加えて、室内の温熱環境を改善し快適な住環境を提供しています。
脱炭素・資源循環商品(リサイクルアルミ等)の需要増加 アルミをリサイクルする際は使用するエネルギーが少なくて済むため、ボーキサイトから新しくアルミ地金(新地金)をつくる場合に比べて、CO2排出量はわずか3%程度と大きく削減できます。市中から回収される使用済みアルミサッシ等の利用を拡大することにより、2030年度までにアルミリサイクル率100%を目指します。その実現に向け、アルミリサイクル炉の導入や不純物分離技術等の開発を進めています。
気候変動
リスク管理 事業全般に関わるリスク評価・見直しを1回/年行い、「損害規模」・「発生頻度」で優先順位をつけ、各委員会が該当するリスクを管理しています。気候変動関連リスク(自然災害、環境規制等)についても重要リスクとして特定し、管理プロセスとして組み込み、環境委員会・BCM委員会でグローバルに政策展開・モニタリングを行っています。 グローバルな環境経営度向上
指標及び目標 カーボンニュートラル実現を目指し、SBTに認定された中長期目標を設定し、達成に向けた環境行動計画を中期事業計画に合わせて策定しています。進捗は統合報告書・環境報告書で開示しています。 気候変動