環境戦略と指標

トップメッセージ

世界のリーディングカンパニー実現への道筋が見えてきた

 2023年4月の社長就任にあたり、YKK精神「善の巡環」や、YKK APのパーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」のもと、"2030年のありたい姿、あるべき姿"を世界のリーディングカンパニーと定め、その実現をめざすビジョン「Evolution 2030」を策定しました。「地球環境への貢献」「新たな顧客価値の提供」「社員幸福経営」で構成される3つの方針に基づき、「Architectural Productsの進化で、世界のリーディングカンパニーへ」を掲げて経営を進めてきました。初年度を終え、その道筋が徐々に見えてきたと感じています。

 私が考える「世界のリーディングカンパニー」とは、窓とカーテンウォールの2つの事業の販売金額でナンバー1になるということです。そのためには、商品や技術にどう付加価値を付けて提供していくかが重要になります。
 かねてより手掛けていた木製窓の商品化が実現し、2024年7月に発売開始しました。意匠性も断熱性も高い木製窓は、樹脂窓とともに使用することで住宅のさらなる断熱化をめざすことができ、「新たな顧客価値の提供」の第一歩と捉えています。また、ビル用の高断熱商品となるアルミ樹脂複合窓を2024年度に発売します。この木製窓やビル用窓の高断熱化は、今後の脱炭素・カーボンニュートラルの実現にはとても有効です。
 2023年度に視察した欧州では、建築市場がスクラップ&ビルドからCO2排出量のより少ない外皮(外壁、屋根や窓など建物の外周部分)のみの改装へとニーズが移っており、そこに新たなビジネス機会があると実感しています。窓をはじめ住宅の増改築やビルの改装向けの高断熱・高付加価値商品などで、欧州にも進出していこうと考えております。

代表取締役社長 魚津 彰
代表取締役社長魚津 彰

 2023年度は、売上高が前年度比5.8%増の5,381億円、営業利益は43.5%増の256億円と、増収増益で終わりました。ただ、第3四半期までは、政府の施策で断熱窓への改修に補助金を出す3省連携補助事業などにより内窓を中心に住宅リフォームやビル改装分野の販売が大幅に伸長したものの、この補助事業が落ち着いた第4四半期に入ると受注が減少し、2023年度の計画には届きませんでした。
 これまでYKK APは新築に力を入れてきましたが、国内の住宅、ビルともに新たな建築着工数が減少するなか、成長が見込まれる住宅のリフォームやビルの改装に注力する必要があります。リフォーム ・改装市場の活性化に応えるべく、リフォーム商品の生産拠点拡大と増産対応の設備投資を行い、国内3カ所の生産拠点にラインを新設し、生産力・競争力を強化しております。

 「Evolution 2030」の軸の1つ「地球環境への貢献」の面では、脱炭素・循環型社会への対応として当社のさまざまな商品に使用される重要な素材であるアルミについて、安定的な市中リサイクル材の調達スキーム構築やグリーンアルミの利用を検討しています。樹脂のリサイクルにおいては、樹脂窓の製造過程で発生する樹脂端材のリサイクル率を高めており、2024年度までに社内品を100%リサイクルすることを目標に掲げています。また社外品のリサイクル技術や市中からの回収技術を、産官学連携で研究しています。

 2024年度以降も、攻めの姿勢で市場を開拓し、「世界のリーディングカンパニー」を目指して挑み続けます。

<YKK AP環境経営方針>

YKK AP環境経営方針

ライフサイクルの全ての段階で環境価値を創出
~人と自然が共生する未来へ~

YKK APは、次世代に対してより良い社会・環境をつくるために、
技術革新による新しい価値の創造、環境負荷ゼロに挑戦します。

●バリューチェーン全体で環境課題解決への貢献と環境負荷低減に取り組みます。
●環境課題として、気候変動、資源循環、水、生物多様性に取り組みます。
●多様な人材を基盤とし、未来を見据えて新たな環境価値創出に取り組みます。

YKK AP環境政策委員長
YKK AP株式会社 代表取締役社長
魚津 彰