環境

環境との共生に向けた取り組み

気候変動への対応

2030年度に向けた自社による温室効果ガス削減目標を2013年度比50%削減に設定し、2021年2月に国際的団体であるSBTイニシアチブ(Science Based Targets)から認定を取得しています。ビジョン「Evolution 2030」では、2030年度までに80%削減、2040年度までに100%削減を掲げ、その目標をさらに前倒ししています。

副社長をプロジェクトリーダーとする「カーボンニュートラルプロジェクト」で策定したカーボンニュートラル技術ロードマップをもとにした取り組みを進めています。商品とモノづくり、それぞれのプラットフォームを検討しながら設備投資や技術開発を加速していきます。

さらに、高断熱商品の普及により、冷暖房に使用するエネルギーを減らすことで、自社だけでなく社会全体のカーボンニュートラルにも貢献していきます。

スコープ1、2の取り組み

製造工程で使用される燃料・電力の使用量削減に取り組んでいます。生産設備の省エネ、高効率化はもちろん、熱源設備の電化、液体燃料から天然ガスへの切替を進め、さらに既存技術をもとに、ガスバーナーへの水素・アンモニアなどの使用に向けた開発・実証を行っています。

また太陽光・水力・風力発電の導入など、再生可能エネルギーによる創エネにも注力し、その導入量は2023年度までに2021年度比で5倍まで拡大しています。

CO2排出量削減の進捗度合いを測るため、当社の製造段階においては設備別のエネルギー使用量を把握し、CO2排出量を可視化するデータベースの構築を進めています。

2023年度は、2013年度比でスコープ1、2を33%削減しています。

太陽光発電・小水力発電・風力発電の導入を拡大​

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環である、「カーボンニュートラルプロジェクト」の6つのワーキンググループのうち「創エネWG」では、自社敷地内への自家消費型再生可能エネルギーの導入を推進しています。これまでに国内外9拠点に合計9,792kWの太陽光発電・小水力発電を導入しました。さらに、2024年度までに合計15,300kWまで創エネを拡大し、2020年度比7,900トンのCO2の削減を目標に再生可能エネルギーの導入を加速します。

また、海沿いの風力利用についても、導入トライアルを進め、さらなる拡大に向けて取り組んでいます。

(左)YKK AP大連社に設置された太陽光パネル、(右)黒部越湖製造所に設置された風力発電設備

(左)YKK AP大連社に設置された太陽光パネル、(右)黒部越湖製造所に設置された風力発電設備

スコープ3の取り組み

当社の事業活動に伴うサプライチェーン全体から排出されるCO2の大半はスコープ3の排出によるものです。その中でも商品の原材料調達による排出量が全体の8割を占めています。特に、アルミ製の商品などに使用するアルミ地金の調達(採掘、精錬、海外輸送)の影響が大きく、市中リサイクル材(市場から回収されるアルミスクラップなどの再生原料)の利用率を上げることは、カーボンニュートラル実現に向けて最もインパクトが大きいといえます。

製造工程で発生するアルミ端材はすべて再利用しており、社内リサイクル率はすでに100%を達成。さらに社外で発生する市中材のアルミリサイクル率100%の達成をめざしており、2023年度は33%まで向上しました。

また、富山大学を中心とした富山県内のアルミ関係産業活性化のための産学融合拠点構想プロジェクト「富山資源循環社会モデルの創成」に幹事企業として携わり、産官学民連携でアルミリサイクルの技術的深耕を図っています。

物流では、陸路輸送でダブル連結トラックを2023年度までに15台導入し、一度の輸送量が従来の1.8倍に向上しました。さらに輸送ルートの集約や端数荷物の合積みによる積載性向上といった「幹線リレー輸送」、「共同配送」や「隔日配送」などの二次配送、鉄道コンテナを利用するなどの「モーダルシフト」の導入により、CO2排出量を継続的に削減します。

2023年度は、2013年度比でスコープ3を10%削減しています。

YKK AP初となるアルミの「リサイクル炉」を導入

YKK APはアルミの市中リサイクル材の投入比率を高めるため、「リサイクル炉」の導入を進めています。通常の溶解炉では、バーナーで加熱することで市中リサイクル材を大量に溶解することができる一方で、市中材を大量に投入すると酸化やアルミ減耗量の増加が起こります。溶解炉とは異なる方法を用いる専用のリサイクル炉では、アルミ溶解時の減耗量が削減できます。

四国製造所では2023年9月にYKK AP初となるリサイクル炉を導入し、稼働を開始しました。このリサイクル炉を溶解炉と併設することにより、社外で発生する市中材のリサイクル率を高めることが可能となり、2023年12月には単月で50%に達しました。

四国製造所のリサイクル炉。左奥は材料の自動投入機

四国製造所のリサイクル炉。左奥は材料の自動投入機

サーキュラーエコノミーへの挑戦

サーキュラーエコノミーの実現に向け、廃棄物などの発生抑制、再使用、再生利用の3R(Reduce:リデュース Reuse:リユース Recycle:リサイクル)活動を推進しています。

事業活動から排出する廃棄物については、「リサイクル率の向上(埋立ゼロ)」「廃棄物排出量40%削減」をめざし、廃棄物の有価物化・再生利用、歩留まり向上に取り組んでいます。

「リサイクル率の向上」では、国内製造拠点から排出する産業廃棄物についてはリサイクル率100%を達成しており、国内・海外を合わせて100%達成に向けて取り組みを継続します。

「産業廃棄物の削減」では、プラスチック包装資材の削減に重点的に取り組み、簡易包装やリターナブル化、包装資材の標準化を推進しています。さらに、黒部越湖製造所にフィルムやラミネートなどの廃プラスチック類と古紙、木屑を原料とするRPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel:紙・プラスチック由来の固形燃料)の製造設備を導入し、廃棄物の有価物化を推進しています。

RPF製造設備(黒部越湖製造所)

RPF製造設備(黒部越湖製造所)

樹脂のリサイクル率向上に向けて

樹脂窓の製造時や使用後に発生する樹脂のリサイクルにも、積極的に取り組んでいます。樹脂窓の各製造拠点に粉砕・選別装置を導入し、樹脂形材の原材料や複層ガラス用のガスケットとして再利用することで、2023年度末の社内リサイクル率は約45%まで向上しています。

  • サッシにガラスをはめ込む際に使用される部品。

樹脂窓リサイクルの社会実装

YKK APは、市場に流通する樹脂窓のリサイクル実現による埋立処分量の削減に向け、業界団体を中心に組織された「樹脂窓リサイクル検討委員会」に委員として参画しています。同会では、使用後の樹脂窓を回収・リサイクルするシステムの構築に向けて、産官学連携で取り組みを進めています。

また同会では、2024年1月に「樹脂窓リサイクルビジョン」を発表し、2024年内のリサイクル製品の市場投入や2030年までに年間10,000トンの再生材活用などを目標に掲げ、その動きを加速しています。

「樹脂窓リサイクル検討委員会」定例会の様子

「樹脂窓リサイクル検討委員会」定例会の様子

環境配慮に向けたガイドラインの運用

サプライチェーン全体のCO2排出量最小化に向けて、商品開発時に「環境配慮設計ガイドライン」を運用しています。商品のライフサイクルにおいて「CO2排出量の可視化」「包装資材の標準化」「環境負荷物質の可視化」「解体・分離の容易性」「環境配慮に向けた評価手法と設計指針」の5項目で商品の評価・改善を行っています。特に包装資材では、繰り返し使用できる包装資材を拡大し、プラスチック包装資材使用量を削減しています。2023年度は、新商品開発時にCO2排出量を算出し、さらなる削減への検討を行いました。

わたしたちの取り組み

新着ストーリー