「性能向上リノベの会」が提案する中古住宅の「ZEH水準を超えた断熱・省エネ改修プロジェクト」が
令和6年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)に採択
高い断熱・省エネ性能、住宅事業者ネットワークでの普及活動と技術レベル向上で評価
YKK AP株式会社(本社:東京都千代田区、社長:魚津 彰)が事務局の「性能向上リノベの会」が提案する戸建中古住宅の「ZEH水準を超えた断熱・省エネ改修プロジェクト(以下、本プロジェクト)」が、国土交通省の「令和6年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されたことをお知らせします。
古くなった建物に新築以上の価値を与える“戸建性能向上リノベーション”を行う「性能向上リノベの会」が提案する本プロジェクトの断熱・省エネ性能が高水準であることや、全国の加盟会員で構成された住宅事業者ネットワークによる普及活動、技術レベル向上につながる取り組みであることが、戸建住宅の改修を先導する事業として評価されました。
政府の掲げる「2030 年までに温室効果ガス排出量46%削減(対2013 年比)」や「2050年のカーボンニュートラル社会の実現」のためには、住宅の断熱化・省エネ化が欠かせません。そこで、2025年以降は新築だけでなく大規模改修においても省エネ基準(※1)の適合が義務化され、さらに2050年までに中古住宅平均でZEH水準(※2)の確保が目標とされています。一方、日本国内に5,000 万戸以上ある戸建住宅のうち、省エネ基準に達していない中古住宅が8割以上(※3)あり、中古住宅の断熱・省エネ改修手法の構築と普及が課題です。
そこでYKK APは、2017年度から各地のリノベーション事業者と共働で、実物件で実証する「戸建性能向上リノベーション実証プロジェクト」に7年間で24件取り組みノウハウを蓄積。2021年には、実証プロジェクトで得た知見やノウハウを基に「性能向上リノベの会」を発足し、戸建性能向上リノベーションのビジネス展開を支援してきました。一方で、改修の効果検証はシミュレーションに留まり、改修前後の室温や消費電力のデータ収集・解析までできていなかったことが課題でした。
本プロジェクトではこの課題を解決するため、戸建中古住宅の改修でZEH水準を超えた断熱・省エネ性能(※4)および耐震補強を行う際、改修前後の断熱性能に関する室温や消費電力などデータを収集・分析することで、効果的な断熱改修方法を確立します。室温データは株式会社アンドパッドの協力を得て収集し、そのデータを用いて東京大学前真之研究室が解析を実施。分析により得られた知見は有識者の協力のもと客観性の高い情報を発信することで、断熱・省エネ改修の効果の認知拡大と性能向上リノベーションの普及を目指します。また、必要な改修費用のおよそ半額と算出した最大200万円/戸(※5)を国から補助してもらうことで、中古住宅の性能向上の普及を促進します。
YKK APは、本プロジェクトを通して日本の中古住宅市場が抱える課題に向き合い、性能向上リノベーションの技術向上と普及促進、それによる住環境の改善、住宅からのCO2排出量削減、そしてカーボンニュートラル社会の実現へ貢献していきます。
■プロジェクト概要
プロジェクト名 | ZEH水準を超えた断熱・省エネ改修プロジェクト |
提案者 | 性能向上リノベの会(事務局:YKK AP株式会社) |
対象工務店 | 「性能向上リノベの会」に加盟の工務店 |
対象住宅 | 【区分】中古戸建住宅 【工期】2024年11月着工から2027年2月竣工まで |
提案する要件 (概略) |
①断熱改修:省エネ基準の断熱等性能等級4、ZEH水準の断熱等性能等級5を上回る断熱等性能等級6以上を満たす。 ②設備改修:ZEH水準の一次エネルギー消費量等級6(BEI≦0.8)を上回るBEI≦0.7を満たす。 ③省エネ性能ラベル:第三者評価(BELS)による省エネ性能ラベルを発行する。 ④気密:改修後に、気密測定技能者(IBECs)による気密(相当隙間面積C値)の測定を行う。 ⑤耐震改修:改修後に、上部構造評点1.0以上を満たす耐震性能とする。 ⑥CASBEE:CASBEE住まい改修チェックリストを改修前後それぞれで入力し、エンドユーザーへ説明を行う。 ⑦データ収集:居住前においては夏季(6~9月)又は冬季(12~3月)の任意の30日間の室温連続測定を行い、居住後においては通年の測定を行い、断熱改修による温熱環境の改善という便益についてエビデンスを取得しかつ啓発情報の発信を行う。 |
補助額 | 補助対象1戸あたり最大200万円(※5)、補助総額:220百万円(110戸分) |
※1: 省エネ基準=断熱等性能等級4、一次エネルギー消費量等級4(BEI=1.0)
※2: ZEH水準=断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6(BEI=0.8)
※3: 令和5年10月20日開催「住宅の長寿命化リフォームシンポジウム」最近の省エネ施策についてを参照
※4: 本プロジェクトが定める「ZEH水準を超えた断熱・省エネ性能」=断熱等性能等級6、BEI=0.7
※5: 省エネ基準から今回設定する「ZEH水準を超えた断熱・省エネ性能」まで性能を引き上げた際に必要な改修費用を算出した金額をもとに設定。物件によって必要な改修費用は異なりますが、補助額としては最大200万円/戸です。本補助事業において必要な機器の購入や事務局費用が別途掛かります。
■サステナブル建築物等先導事業とは
省エネ・省CO2に係る先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のリーディングプロジェクトに対し支援する事業です。国立研究開発法人建築研究所が、学識経験者からなる評価委員会を設置し、その評価結果を基に採択されます。2024年12月2日(月)に国立研究開発法人建築研究所と一般社団法人日本サステナブル建築協会が主催する「第31回住宅・建築物の省CO2シンポジウム」にて、今回採択されたプロジェクトや完了したプロジェクトを中心に追跡調査の概要、建築行政の最新動向が紹介されます。
第31回住宅・建築物の省CO2シンポジウム:https://www.jsbc.or.jp/seminar/co2_symposium_no31.html
■性能向上リノベの会とは
全国の住宅事業者を対象に、中古戸建住宅リノベーションの活性化を目的として、2021年10月に発足。外気変化の影響を最小化する断熱性能と、建物の骨格となる構造補強による耐震性能を向上する手段やノウハウを共有し、技術的な支援から、プロモーションまで、中古戸建住宅の性能向上リノベーション事業の拡大を支援しています。2024年10月現在、会員数は約570社。
性能向上リノベの会 ウェブサイト:https://pireno.ykkap.co.jp/
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